食べログユーザーの投票によって選出される「The Tabelog Award 2024」の授賞式が2024年1月22日に開催されました。
リアル会場での発表はなんと4年振り。会場には400名近い料理人や関係者が集まりました。
「The Tabelog Award」は食べログのユーザー投票によって選出された国内レストランのトップオブザトップが発表される授賞式。
“おいしいを、讃えよう”をキャッチコピーに2017年からスタートしました。
レストランアワードは様々ありますが「The Tabelog Award」の何が違うかと言いますと、
覆面調査員や食のジャーナリストや専門家ではなく、実際に店で食事をした食べログユーザーの“民意”によって決定するということ。
いわば国民投票によって決定される賞なのです。
「The Tabelog Award 2024」は過去1年間において食べログの点数が累計1ヶ月以上4.00を超えた456店がノミネート対象となり、
2023年11月1日〜13日の投票期間に食べログユーザーが対象店舗にネットで投票して
「Gold」:この国のどこにあったとしても生涯通い続けたい店、
「Silver」:一生に一度は味わっておきたい、匠の技に出会える店、
「Bronze」:レストランを語るなら、必ず押さえておくべき名店、を基準にそれぞれ選出。
また本年は部門賞として
「Best New Entry」:今年最も飛躍した初ノミネート店、
「Best Regional Restaurants」:どんなに時間をかけてでも食べに訪れる価値がある店、
「Chefs' Gold」:ノミネート店の料理人が選ぶ「今、おいしいと思う店」も併せて選出されました。
授賞式は日比谷にある帝国ホテル「富士の間」で開催されました。
受付を済ませた料理人たちはメイン会場前のホワイエにどんどん集まり、挨拶のハグの後は記念撮影をしたり知人を紹介しあったりと開演前からものすごい盛り上がり。
特に地方から来た方々は4年ぶりの再会という場合も多く、みなさん満面の笑顔。「まもなく開演です。お席にお着きください」と促され各自の席に向かいながらも話が尽きない様子。
14時30分、会場の席が埋め尽くされると暗転、俳優の石黒賢さんが登場しました。「日々、一流の食材と真剣に立ち向かう姿勢、おいしいを作り出す職人技、一流であろうとする魂、姿勢、そしておもてなしの心……、この会場にいるみなさんが等しく抱いている、たくさんのアイデアが、想いが、この会場から日本中に溢れ出ていくようです。食べ物に対する愛より誠実な愛はない」とイギリスの劇作家、ジョージ・バーナードショーの名言を引用しながら語り、ステージに上がると開幕を宣言。
すると正面に設置された大きな3つのスクリーンにオープニングムービーが流れました。
「まだ何者でもなかった頃も、トップに立った今も、情熱とともに料理を作る」という言葉に様々な想いが込みあげてきます。
今回の司会は石黒賢さんとフリーアナウンサーの笹川友里さん。はじめに主催者である株式会社カカクコム取締役副社長の村上敦浩が元日に起こった能登の震災で被害に遭われている方々へのお見舞いと「このアワードの開催で日本のレストランの素晴らしさを、進化をもっと知ってもらいたい、日本の食文化をもっと発展させたい」と挨拶の言葉を述べました。
次に食べログが新たに始めたサステナビリティの取り組みについて発表がありました。ここ数年、サステナブルな社会の実現に向けた地球環境の保全をはじめとする様々な取り組みに国内外の関心が高まっており、より多くの人に各店のサステナビリティの取り組みを知ってもらい、ともに持続可能な社会を目指すため、自店の取り組みについて情報発信できる「環境や社会への取り組み」欄を店舗情報ページに新設しました。
そこで実際にサステナブルな取り組みをしている北海道「味道広路(あじどころ)」の店主、酒井弘志氏と東京・銀座「ロオジエ」のシェフ、オリヴィエ・シェニョン氏によるそれぞれの考えやアプローチをムービーで紹介しました。
さあ、いよいよ各賞の発表の時間です。まずは部門賞から。最初に発表されたのは「Best New Entry」です。この賞は「The Tabelog Award」に初めてノミネートされた店が対象で、ユーザー投票数が多く集まった上位10店舗に贈られました。
受賞した代表者が名前を呼ばれ次々と登壇、「バーミックス」の総輸入発売元である株式会社チェリーテラス 代表取締役社長の井出孝二郎氏からトロフィーと表彰状、副賞としてバーミックスとスライシーのセットが贈呈されました。
受賞したのは北海道「PARCO FIERA」、「すし宮川」、東京都「三和」、「かさ原」、「美会(びあ)」、「銀座きた川」、「すし良明(あきら)」、山梨県「TSUSHIMI」、京都府「廣澤」、長野県「LA CASA DI Tetsuo Ota」の10店舗。
司会の石黒賢さんから「これからの日本のレストランを牽引し、新しい潮流を巻き起こすみなさんです」と言葉を添えられました。
続いては「Best Regional Restaurants」の発表です。ここでプレゼンターとして登場したのが芸能界きっての美食家、寺門ジモンさん。「芸能界より知り合いが多い」と会場を沸かせます。
最近は地方のレストランによく行くそうで「地方の料理人に頑張ってほしい。地方が上がれば東京も上がって日本のレストランが活気付く」とコメント。
この「Best Regional Restaurants」は都市部以外のエリアで「どんなに時間をかけてでも食べに訪れる価値がある店」を東日本と西日本から1店舗ずつ選出、東日本は富山県「L'évo」、西日本は長野県「柚木元」が受賞し、トロフィーと表彰状、副賞にはアサヒビールより「CLOS LANSON 2009」が贈呈されました。
部門賞の最後を飾るのは今年から新設された「Chefs' Gold」です。ノミネート店の料理人から“今、最もおいしいと思う店”と選ばれた11店舗の顔ぶれは東京都「日本橋蛎殻町すぎた」、「L'Effervescence」、「茶禅華」、「龍吟」、「CÔTE D'OR」、「松川」、富山県「L'évo」、石川県「片折」、静岡県「成生」、京都府「道人」、大阪府「本湖月」です。
プレゼンターを務めるのは全日本食学会副理事長でありフードコラムニストの門上武司さん。「体にも心にも大切な食を司る料理人たちがやっぱりこの人!と選んだ他にはないすごい賞、僕自身もドキドキしています」とコメントし、トロフィーと表彰状、副賞に「エビアン・ジャパン」から「エビアンスパークリング受賞記念ボトル&エビアン×コペルニデザイナーボトルがプレゼントされました。
受賞者代表として「本湖月」の穴見秀生氏が「料理人になってちょうど60年になります。もうちょっと頑張ってみますのでみなさまどうぞよろしくお願いします」と喜びと感謝の気持ちを言葉にしました。
さて、いよいよ「Gold」「Silver」「Bronze」の発表に会場の雰囲気は最高潮!「日本を誇る頂点のみなさま。その栄誉を讃え、『The Tabelog Award 2024』を贈呈したいと思います」との石黒賢さんの発声で、「Bronze」に選ばれた320店舗が、続いて「Silver」の101店舗の名前が北から順にスクリーンに流れました。
「食べログ掲載全国85万店のうち0.05%、456店だけに贈られる『The Tabelog Award』。この数字はいかに高いハードルか、いかに選び抜かれたかを示しています」という言葉が、ここに名を連ねることの困難さを物語っています。
「Gold」に輝いた35店舗はステージへ。プレゼンターは株式会社カカクコムの村上が務めます。
はじめに呼ばれたのは「銀座しのはら」です。続いて「蒼」、「acá 1°」、「かさ原」、「東麻布 天本」、「L'évo」、「柚木元」、「道人」、「鮨さかい」、「日本橋蛎殻町すぎた」、「PELLEGRINO」、「勢麟」、「温石」、「天寿し京町店」、「近松」、「Quintessence」、「鮨あらい」、「茶禅華」、「グルマンディーズ」の代表者が次々とステージへ向かいました。
登壇したみなさんの晴れやかな表情、堂々とした立ち姿に、ここまでやってきたことへの自信と料理人であることの誇りを感じます。
この後、会場に来られなかった北海道「鮨一幸」、千葉県「PRESENTE Sugi」、東京都「まき村」、「鮨さいとう」、「三谷」、「松川」、「日本料理 晴山」、「新ばし 星野」、「たきや」、「鮨なんば」、石川県「片折」、静岡県「成生」、京都府「啐啄つか本」、「飯田」、「仁修樓」、大阪府「鮨 三心」が紹介されました。
ステージには再びプレゼンターの寺門ジモンさんと門上武司さん が登場し、記念撮影の後、石黒賢さんによる受賞者へのインタビューが始まりました。
今の気持ちと大切にしていることは何かとの問いに、2年連続受賞の東京都「蒼」の峯村康資氏は「尊敬している先輩や仲間と一緒に受賞できて幸せです」と受賞の喜びとともに「命を賭けて漁をしてくれる漁師さんなどの一次産業の人たちにも光が当たってほしい、彼らの想いを背負って料理している」と語り、同じく2年連続受賞の静岡県「温石」の杉山乃互氏は「嬉しいです。とても嬉しいです。先人から続く技術や伝統の延長線上に今があるということを大事にしております」と述べました。
「Best New Entry」も受賞、神戸から東京に移転して短期間での「Gold」受賞となった東京都「かさ原」の笠原悠仁氏は焼き方の技を質問され「一生懸命に焼いているだけ。創業時から“究極の焼き鳥”を追求し続けているがまだ究極の1本を焼けていない、いつかその1本が焼けるように精進します」と答えました。
最後にプレゼンターのお二人から「食材の声を聞き今日もおいしい料理を作っている。これからも頑張ってください」「日本はこれから食が頑張ることが一番大事。この会場にいるみなさんのおかげで食の力がどんどん強くなるのを感じました。」とエールを送られ授賞式が終了しました。
さあ、お待ちかねの懇親会のスタートです。興奮と緊張から一転、会場はパーティー仕様に模様替えして笑顔が絶えない和やかなムードとなりました。
乾杯の挨拶は見事「Best Regional Restaurants」「Chefs' Gold」「Gold」の3冠を獲得した富山県「L'évo」の谷口英司氏です。「能登半島地震で被害に遭われた方々に、一刻でも早い復興と元気を与えられるような料理を作っていきたい。みなさんの力を貸していただき能登に届けたい」と本日来ることのできなかった仲間や被災されている方々への想いを語りました。
たくさんの人と交流できるようにと前回とは異なるスタンディングスタイル。みなさん自由に歩き回りあちこちで写真撮影や名刺交換が行われ親睦を深めています。
「天寿し京町店」の天野功一氏と「スタミナ苑」の豊島雅信氏 、「鳥しき」の池川義輝氏と「かさ原」の笠原悠仁氏といった滅多に見られない2ショットなどは、「The Tabelog Award」ならではの光景。用意されたフードもドリンクも「おぉ!」と思うものばかり。「おにぎりぼんご」の女将、右近由美子さんがにぎるおにぎりに錚々たる料理人たちが、子供のようにワクワクしながら並んで待っていました。
幻のパン屋と呼ばれる「SOMEWHERE BAKERY」のパンに「SALMERIA69」の生ハムをのせた「脱法パン」は、この会場だけのスペシャルコラボレーション。食べている人を見て「こちらもお願いします!」とたちまち人気メニューになっていました。
「このアワードのおかげで1年に1度、みんなと会えることが楽しみであり、この場にいられることが嬉しい」(「天寿し京町店」天野功一氏、「銀座しのはら」篠原武将氏)、
「これが真の評価、投票していただいたレビュアーさんに感謝しています」(「東麻布 天本」天本正通氏)、「一生懸命頑張ってきたことが評価されて嬉しい」(「美会」ビア氏)、
「多くの人に評価していただき自分のやってきたことは間違っていなかったと思えることに感謝しています」(「日本橋蛎殻町すぎた」杉田孝明氏)、
「田舎の店なのに初めてこんな栄誉ある賞をいただくことができ、有名なお店の方々ばかりの場にいられることに感謝しています。これからも頑張ります」(「草庵鍋島」西村卓馬氏)、
「5年連続BRONZEをいただけて感謝するとともに来年こそSilverに上がれるように努力します。賞を獲得した中国料理が少ないので裾野の 拡大にも尽力したいと思います」(「4000 Chinese Restaurant」菰田欣也氏)。
全世界を食べ歩き「OAD Top Restaurants」レビュアーランキング1位の浜田岳文氏は「ユーザーに支持されているという明確な特徴があるので集まる料理人も個性豊か。同窓会のような雰囲気にここに集まれることを楽しみにしておられる方が多く、休みなく働いている料理人が年に1度休みをとって家族と一緒に参加できるという話を聞いたりすると、これがいい風物詩のようになったらいいなと思います」と、このアワードが特別な存在であると語ります。
また食べログフォロワー数No.1の川井潤氏は「地方に頑張ってもらいたい」と地方のレストランに期待しました。他にも「まったく会うことがないような方に出会えました」「新しい店が増え自分ももっと頑張らなければ」「行ってみたい店がたくさんあります」という声も多数ありました。
終了時間を告げられ、また来年集まることを約束し「The Tabelog Award 2024」が閉幕しました。
今年も日本全国からお越しいただいたゲストのみなさまと親睦を深める素晴らしい機会となりました。
このアワードが料理人の方々の意欲やパワーをより高める機会として、少しでも役立つことができたら本望です。
そして、日頃より「食べログ」をご愛用くださるみなさまに、この場を借りて感謝申し上げます。
最後に、令和6年能登半島地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。
犠牲となられた方々のご冥福と、日常の生活が1日でも早く戻ることを心よりお祈りいたします。